2009年4月23日木曜日

夫婦の財産の名と実

 家族の法律問題。一組の夫婦を家族という単位の基本と考えると、夫婦間の法律問題、つまり結婚や離婚は、家族の法律問題の主たるものの一つであるといえます。

 結婚するときには、当事者はこれからの明るく楽しい結婚生活を思い描いていますから、そう大きな問題は起きにくいことでしょう。(披露宴などをめぐって、両家にしこりを残すこともあるようですが。)

 問題が起こるのは、もっぱら離婚のとき。つまり、夫婦で蓄えてきた財産を、別れるに際してどのように分けたらいいか、ということが決まらず、苦労する夫婦が多いということです。

 結婚前にそれぞれが蓄えていたものは、夫または妻の固有財産です。また、結婚後に親など親族から相続した財産や、親から生前贈与された財産も、固有財産とされます。 これに対し、結婚してから蓄えてきた財産は、例えそれが夫一人の稼ぎであっても、妻の内助の功が認められ、夫婦二人の共有財産であると解釈されます。

 理屈はそのようになっていますが、実際には、共有財産の名と実を整理して二つに分けるのに、思いの外苦労します。

 夫の稼ぎ、妻の内助の功で不動産を購入した場合、たいていは不動産は夫名義になっています。また、夫がサラリーマンなら、給与は夫名義の口座に振り込まれます。妻は、夫に対しては「これは半分は私のものだ!」と主張することができるのですが、対外的には不動産は「所有者=夫」で登記されていますし、預金口座も夫名義ですから、夫のものということになります。妻の印鑑では不動産の処分ができませんし、預金口座を解約したりするのにも、夫の印鑑が必要です。妻が他人に対して「これは半分私のものだ!」と主張するためには、名義が伴わなくてはなりません。これが、名実の「名」の話。

 ですから、離婚するときに、妻が「私のもの」と主張するならば、不動産は登記上の所有者を変更しなければなりませんし、預貯金は夫名義の口座から妻名義の口座に移し替えることが必要になってきます。

 離婚時に、今後別れて他人に戻ってしまう二人が、上記のように財産を整理して分け合うことを、財産分与と呼んでいます。財産には不動産のように分けにくいものも多いので、困難と感じたときには、法律資格職の専門家にご相談ください。

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